人類を脅かすリスクの優先順位づけ

170221 ミニレポート *** 人類を脅かす様々なリスクに対処するにあたり、考えられるすべてのリスクに対処することはコストが莫大なものとなるため、なんらかのかたちでリスクに優先順位をつけ優先順位の高い順に対処していくことが必要となる。それぞれの災…

近藤麻理恵『人生がときめく片づけの魔法』にみる宗教的行為としての「片づけ」

サンマーク出版の本を何冊か読んでたら、『人生がときめく片づけの魔法』についてむかし書いた文章思い出したので載せてみる。こんまりさんの本の下手なまとめみたいなものだけど。現代社会と宗教のレポート課題。 *** ロランバルトが日本に滞在しとある…

バックミンスター・フラー その人と哲学

昔書いた建築意匠のレポート。なぜかインタビュー形式 *** 40年という短い間にあなたは建築家として、あるいは技師として、また発明・企画家、地図製作者、数学者として新聞のトップ記事をかざってきました。それにもかかわらずあなたはこれらのどれをも…

藤田正勝「親鸞の「悪」――末法の世における救い」『日本文化をよむ――5つのキーワード』

1. 末法の世に 末法思想:釈迦が入滅してから、その教えが徐々に衰退していくという思想 正法の時代:教えとその実践が残る 像法の時代:正しい修行が成されず誰も悟りを開けない 末法の時代:教えは残るが、行(実践)も証(その結果としての悟り)もなくなる…

列島改造論2.0

(大野) 基本的に拡大期はユニバーサルでいい。一つ良い仕組みを考えて世界中でやりましょうというのがアテネ憲章のコンセプトだったと思います。ただ、縮小期は基本的に資源が少ないのであるものを利用するので、手持ちのものが違って個性的にならざるを得な…

資本主義、民主主義の抱える問題とこれからの社会システムについて

2016年12月12日 一部内容重複 *** 2000年代に入ってからというもの、かつてのような「一億総中流」意識は遠い過去のものとなり、特にリーマンショック以降は格差の問題は国内外問わず前景化し、様々な地域で同時多発的に極右勢力が台頭するなど政治状況も極…

シンギュラリティと人間

2016年12月26日 *** 人工知能が人間の能力を超えてしまうという問題は、昨今盛んに議論されているが、現在の時点ではそれが人間生活にどの程度の影響を及ぼすのかについての予想は論者によって様々であり、それが人類にとって脅威となるものなのか、それ…

明石家さんま「座右の迷」

「人生 うわっつら」 *** 書類と会議ばかりの官僚的形式主義も、茶道における「型」の重視も、コミュ力と学校歴を重んずる就活文化も、お歳暮の包装紙も、「役に立つ」研究への資源の集中も、政治家のウソやハッタリも、場における「空気」も、組織におけ…

あなたが"self-efficacy"を感じるとき

2016年7月17日 *** 「ある状況において必要な行動をうまく遂行できるという個人的な確信」をself-efficacy(自己効力感)と呼ぶのであれば、非常に精神的なもので気持ちの持ちよう次第でいつでも、どんな人でも持ちうるものであるかのように聞こえるが、個人的…

ローカライゼーションはグローバライゼーションの原点か

2016年11月28日 *** グローバライゼーションが進んだ現代社会のなかにあって、仮に英語が話せて海外で仕事ができるようになったとしても、そこに自分の拠り所とするものがないのであれば、それはただ世界の潮流に自己を埋没させては世界中をせわしなく移…

建築的事象にみるメタファと身体知

2016年8月4日 *** レイコフ・ジョンソンによれば、メタファーの本質は、「ある事柄を別の事柄を通して理解し、経験することである(注1」という。「われわれが普段、ものを考えたり行動したりする際に基づいている概念体系の本質は、根本的にメタファーに…

二度の金融危機の先に見えるものとは?

2016/11/14 *** 経済危機というと、なにか自然災害のような不可避的な現象のようにも聞こえるが、実際には地震や津波等と違ってほとんどの部分が実際の人間の経済活動によって引き起こされた事象であるといえ、それは現代社会のある種の矛盾と行き詰まりを示…

江戸方式を取り入れることによって改善しうる現代の生活様式

「結婚式」文化再考 2016年10月31日 *** 現在、日本において一般的に認識されている「結婚式」という行事は挙式と披露宴という二つの部分によって構成されているが、私たちが当たり前と思っているこのようなかたちでの結婚式は、神前結婚式であれキリスト教…

以心伝心

2016/5/9 *** 茶道の場でのコミュニケーションのあり方をみていると、現代社会で求められるそれのあり様とはまた異なる、別種のコミュニケーションが交わされているように思われる。 現代日本は西欧文化の影響を色濃く受け、生活のあり方もコミュニケーショ…

Why is philosophy important in 21 century?

今年度、ミニレポート等々で文章を書く機会が多かったので少しずつまとめたい。 2016/4/25 *** 自然科学はその始まりにおいて、キリスト教的な一神教的世界観と強い関係を持ち、ニュートンにしてもガリレオにしても、物理的な因果性を問題としつつも、そ…

C.G.ユング『ヨブへの答え』

ヨブへの答え C.G. ユング みすず書房 善とは悪がうまいこと隠されているということであり、悪とは無意識的に行為するということである。107頁 ***

ロラン・バルト『表徴の帝国』

「つまり、あの国では、宗教は礼儀にほかならない、あるいはまた、宗教は礼儀にとってかわられているのであると。」105頁 *** ロラン・バルト『表徴の帝国』再読。しみじみと面白い。 この国では、「形式」は「実質」に先立つ。それは能や茶道といった…

熊代 亨『ロスジェネ心理学―生きづらいこの時代をひも解く』

ロスジェネ心理学―生きづらいこの時代をひも解く 熊代 亨 花伝社 ・全能感を維持するために「なにもしない」人達 ここ最近、「価値のあるボク」「価値のあるアタシ」といった肥大した自己イメージを、いつまでたっても抱えている男女がそこらじゅうに溢れて…

河合隼雄『河合隼雄著作集9 多層化するライフサイクル』

アヌゼルムスは、なぜこんなに不器用なのだろう。彼は無能力ではない。彼は成績は優秀だし、将来は枢密秘書官か、あるいは宮中顧問官にさえなれるのではないかと期待されているほどだ。(...)このように「夢」を実現する能力をもっていながら、それを潰してし…

河合俊雄、内田由紀子編『「ひきこもり」考』

「ひきこもり」考 (こころの未来選書) 河合 俊雄,内田 由紀子 創元社 2013-03 ・北山忍「自己矛盾のメンタリティー」 日本の文化は、古来農耕を基盤にして発展してきたが、これに儒教・仏教といった基本的に人間関係を重んじる思想が加わって成り立ってきて…

鷲田清一『「待つ」ということ』

「待つ」ということ (角川選書) 鷲田 清一 角川学芸出版 「窯変」という言葉がある。陶工はこねた土の上に釉薬を塗るが、窯にそれを入れたあとは、焼き上がるまで待つ。どんな色が滲みでてくるか、ときにどんな歪みがその形に現れるか、それは作家の意図の…

ディートリヒ・ボーンヘッファー『共に生きる生活』(森野善右衞門訳)

共に生きる生活 ディートリヒ ボンヘッファー 新教出版社 Ⅴ章「罪の告白と主の晩餐」 ・背景 罪の告白は、ローマカトリックでは七つのサクラメント(洗礼、堅信、聖餐、告解、終油、叙階、結婚)の一つとされていたが、プロテスタント教会ではルター以降、洗…

斎藤環『生き延びるためのラカン』

生き延びるためのラカン (木星叢書) 斎藤 環 バジリコ ・なぜ「ラカン」なのか? 僕たちはふだん、意味とイメージの世界を生きている。これをラカンは「想像界」と呼ぶ。ところが、意味を生み出すはずの「言葉」は、じつは言葉だけで独自の世界を作っている…

河合隼雄『イメージの心理学』

イメージの心理学 河合 隼雄 青土社 1991-11 ・イメージと深層心理学 ユングはフロイトによる精神分析よりも、もっとイメージのもつ生命力の方に注目し、その心理学において、イメージのもつ特性をできるかぎり残そうとした、と言うことができる。彼はイメ…

河合隼雄『未来への記憶ー自伝の試みー(上)(下)』

未来への記憶―自伝の試み〈上〉 (岩波新書) 河合 隼雄 岩波書店 クロッパーは患者のロールシャッハだけをみて、本人には会っていなくても、この人は医者が言うよりも長生きするだろうとか、この人は医者が言うよりも早く死ぬだろうと分類するんです。それが…

青木省三『ぼくらの中の発達障害』

ぼくらの中の発達障害 (ちくまプリマー新書) 青木 省三 筑摩書房 人に伝えたい「何か」について考える時、コミュニケーション能力が高いことは必ずしも良いとかりは言えない。コミュニケーション能力が高いと、他人と共有する認識や理解を持つことは可能にな…

斉藤環『ヤンキー化する日本』

ヤンキー化する日本 (角川oneテーマ21) 斎藤 環 角川書店 ・与那覇潤 補助輪付きだった戦後民主主義 与那覇 東京女子医大で遺伝学をやっていらした鎌谷直之先生が、日本人は統計学と遺伝学が苦手で、純粋数学は得意なんだということを言っていて、その中で…

甲府旅行(2/14-15)

・YBS山梨放送(旧山梨文化会館)/丹下健三(1966) ・山梨芸術の森公園 ・山梨県立文学館/大宇根・江平建築事務所(1978) ・山梨県立美術館/前川國男(1978) ・ポーリーヌ・V・オノの肖像/ジャン=フランソワ・ミレー(1841-42) ・落ち穂広い、夏/ジャン=フランソワ…

河合俊雄『村上春樹の「物語」 夢テキストとして読み解く』

村上春樹の「物語」―夢テキストとして読み解く 河合 俊雄 新潮社 ・はじめにー物語と心理学 村上春樹の作品を心理学的に「解釈」しようとすると多くの問題が起こってきて、それはほとんど不可能なことに思えてくる。それはまず、村上春樹の作品において、「…

村上春樹「魂のいちばん深いところ 河合隼雄先生の思い出」

考える人 2013年 08月号 [雑誌] 新潮社 (2013-07-04) 初対面の印象は「ずいぶん無口で暗い感じの人だな」というものでした。目が据わっているというか、なんとなくどろんとしているんです。奥が見えない。これは、言い方はちょっと悪いかもしれませんが、尋…