社会科学

中沢新一『古代から来た未来人 折口信夫』

古代から来た未来人 折口信夫 (ちくまプリマー新書) 中沢 新一 筑摩書房 ・「古代人」の心を知る 折口信夫は人間の思考能力を、「別化性能」と「類化性能」のふたつに分けて考えている。ものごとの違いを見抜く能力が「別化性能」であり、一見するとまるで…

牧野篤『主体は形成されたかー教育学の枠組みをめぐってー』

主体は形成されたか―教育学の枠組みをめぐって 牧野 篤 大学教育出版 ・知の権威主義 近代市民社会は、この超越的支配者を排して、万人の平等性を想定する「平等性」原則の上に定立する社会であり、それは一見、あらゆる差別を解消したかのように見える。し…

中根千枝『タテ社会の人間関係』

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書 105) 中根 千枝 講談社 日本においては、どんなに一定の主義・思想を錦の御旗としている集団でも、その集団の生命は「その主義自体に個人が忠実である」ことではなく、むしろお互いの人間関係自体にあるといえよう。 こ…

鈴木謙介『ウェブ社会のゆくえ』

ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207) 鈴木 謙介 NHK出版 私たちは常に自分がどう見られているのかを意識しながら、その期待に応えられるかどうかを判断しているわけではない。むしろ「この場面であれば人は一般的にどう振る…

山田昌弘『家族というリスク』

家族というリスク 山田 昌弘 勁草書房 2001-10 ・家族というリスク 現代社会の生活のリスクは、家族の内側から来る。(…) ひとつは、自分に依存してくる家族メンバーが増えるというリスクである。これは、家族を形成したり、今まで元気だった家族が依存社にな…

山田昌弘『なぜ若者は保守化するのか』

なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望 山田 昌弘 東洋経済新報社 2009-11-20 本来、潜在能力のある若者はリスクを取って、さまざまな機会を試し自分に合った職を見つけ出すほうが、その能力を発揮するためには望ましいだろう。現実は逆で、優秀な若…

鴻上尚史 空気と世間

「空気」と「世間」 (講談社現代新書) 鴻上尚史 講談社 2009-07-17 西洋における神が秩序を保つための抑止力であり、また弱い個人にとっての支えであるのと同じように、日本における世間も規範を守らない人間を監視する抑止力であり、また相互扶助的な互酬関…