内田樹 脱グローバル論

・グローバル人材になんてならなくていい。1日15時間働けて、どこでも辞令一本で飛んでいける人材、言い換えたらその場所に必要不可欠な存在ではなく代替可能な存在であるということ。  ・近代、グローバル資本主義新自由主義が目指してきたもの。効率至上主義、成長、グローバル化による世界の均質化。その反動として出てきた場所性、地域性、持続可能性、地域における小さな経済圏。  ・5年というサイクルでは非合理でも、30年、50年、80年といった人間のライフスパンでみれば持続可能で合理的な制度設計がある。地域共同体、人と人との互助的関係、物語が大切。トヨタ、地元の人の雇用をつくる、その土地に還元するという思想が先にある。頼ってくれる身内がいるし、こいつらを食わせていかなければならないという思いがある。グローバル企業化してしまうとそれができない。常に条件が良い場所に移ること。中国、東南アジア、アフリカへ。焼畑農業的に資源が安く手に入る場所を食いつぶしてゆく。感のいい経営者はそのあたりがわかっていて、中長期的に事業をやっていきたいのならばその土地土地での持続可能な形での経営へとシフトしてゆく。
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近代では人は身体を無視したサイボーグ人間になることが求められているように見受けられる。感情は全て思考によってコントロールされていなければならない。しかし実際は人間には身体がある。その身体が送ってくる小さな信号を、ノイズとして無視してはならない。