臨床心理

河合隼雄『日本文化のゆくえ』

日本文化のゆくえ (岩波現代文庫) 河合 隼雄 岩波書店 現代人と芸術 ベートーベンの伝記を読むと、世間のことに関してはあまりにも馬鹿げたことをしているので驚いてしまう。意図的に自分を不幸に追いこんでいるのではないか、と思う。そして、まさに「八方…

河合隼雄 中空構造日本の深層

中空構造日本の深層 (中公文庫) 河合 隼雄 中央公論社 1999-01 西洋のように一神教を信ずるところでは、多神教に比して、「統合」に対する欲求が強いのは当然のことである。(…)このような一神教的統合性の希求と、近代科学の合理性が結びついたとき、その統…

木村敏 自己・あいだ・時間

自己・あいだ・時間―現象学的精神病理学 (ちくま学芸文庫) 木村 敏 筑摩書房 2006-05 ヤスパースにとって〈現象学の課題は、患者が現実に体験する精神状態をまざまざとわれわれの心に描き出し、近縁の関係に従って考察し、できるだけ鋭く限定し、区別し、厳…

河合隼雄ほか 日本の精神性と宗教

日本の精神性と宗教 河合 隼雄,橋本 武人,鎌田 東二,山折 哲雄 創元社 2006-04-14 ・遊牧の人たちは、自然を自分の力でコントロールするということをしなければ、生きていけない。羊でも雄の羊は一匹を残して残りは殺す。ところが日本では、育たないものでも…

岸田秀対談集 日本人はどこへゆく

日本人はどこへゆく―岸田秀対談集 岸田 秀 青土社 2005-07 この国では自分の立場は常に相手との関係性において措定される。役割を演じる、その場その場を滞りなく円滑に進めていく、ということが何よりも大切であって、一貫した自我なんてなくたっていい。な…

C.G.ユング タイプ論

タイプ論 C.G. ユング みすず書房 1987-05 *** 内向型・外向型の2タイプ、思考型・感情型・感覚型・直感型の4タイプ、それをかけた計8タイプで分類しそれぞれのタイプごとに解説されている。思考型と感情型、感覚型と直感型は相反するタイプであり思考タ…

M.L.フォンフランツ 永遠の少年

永遠の少年―『星の王子さま』の深層 M.L.フォン・フランツ 紀伊國屋書店 1982-01 永遠の少年は問題はどの芸術家にも存在した問題。それを作品の中だけでなく自分の問題として昇華してゆくことができれば作品もより順次高次な段階へと変化してゆく。いろいろ…

八幡洋 星の王子様の心理学

「星の王子さま」の心理学―永遠の少年か、中心気質者か 矢幡 洋 大和書房 2000-04 ナルチシストたちは自分が周囲からどうみられているのかということに常に意識がいっており、それを操作することに長けている。意識される側としての自我のため、最大限の成果…

河合隼雄×茂木健一郎 こころと脳の対話

こころと脳の対話 (新潮文庫) 河合 隼雄,茂木 健一郎 新潮社 2011-06-26 ・話の内容と、こっちの疲れの度合いの乖離がひどい場合は、相手の症状は深い。そういう人はかわいそうに、やっぱり人に嫌われるんです。そういう人と会ってると、みんなしんどくなる…

河合隼雄×吉本ばなな なるほどの対話

なるほどの対話 (新潮文庫) 河合 隼雄,吉本 ばなな 新潮社 2005-08-28 ・自分でああしよう、こうしようと思ったら絶対ダメ。来たものになんとなく答えていく、「時が経っていった」という感じの方がうまくいく。先に考えるのではなくて、それに身を任すこと…

河合隼雄 母性社会日本の病理

母性社会日本の病理 (講談社プラスアルファ文庫) 河合 隼雄 講談社 1997-09-19 日本社会では能力差は存在しない、少なくとも能力差のことについて言及することはタブーとされている。誰でも頑張ったら一番になれる。そのような前提のもとである評価基準で序…